その日、待ち合わせしていた彼女は、見慣れない白いコートと赤いマフラーで現れた。
別に言っておくけれど、2人きりで出かけようという約束をしたわけではないよ。
もう一人の親友が、風邪で出かけられなくなったから、必然的に2人になっただけ。
え?別に聞いてない?
いいじゃないか、そう思わないと妙に緊張してしまって仕方がないんだから。

「ロン、ごめんなさい。待った?何だか寝癖がなかなか今日は直らなくて、時間がかかってしまって」

普段は、黒いローブなど、どちらかと言うと濃い色を纏う事の多い僕らだから、雪に溶けてしまいそうな真っ白なコート姿の彼女が眩しくて、そしてそのふんわりとした柔らかそうな髪の色も、いつも以上に映えて、思わず頬が赤らんでしまった。
幸い、彼女には気づかれずにすんだみたいだけれど。

そんな、ちょっと浮かれた始まりの聖なる日の買い物だった。でも、

「ハーマイオニー、まだ回るの?」
「もう一軒!あっちに品揃えのいい、新しい本屋さんが出来たって聞いたんだもの」
僕の腕の中には、人よりも高めの背よりもさらにうず高くつまれた荷物たち。

この頃には、最初のときめきも、疲れと呆れに負けそうになっていた。
しかも一番上に載っている、先程買った一番大きな重い包みは、ハリーへのプレゼントなのだ。
ハーマイオニーが、店で見かけた瞬間
「ねえ、ロン!見て、このセーター、ハリーに似合うと思わない?あ、この鞄も!」
と浮き浮きと選んでいた品物。

その一言一言を耳にする度に、親友への想いから同意すると同時に
『僕へのプレゼントは選んでくれないのかい?』って声が出そうになった。

だって、僕はハーマイオニーへのプレゼントはもう1ヶ月も前に悩んで悩んで用意してたのに。
でも、自分から聞くのもなんだか悔しくて、半眼になっていたところを、突然ぐいと腕を引かれた。
思わずバランスを崩しそうになってよろける僕の腕に、するりと君は細い腕を自然に絡ませてる。

「ねえ、あともう一軒だけ行ってもいいかしら?」
横で笑顔で問うハーマイオニーの柔らかな髪が、頬をくすぐって。
『ずるい』と思った。
だって、こうやって疲れや呆れが胸の高鳴りに勝ちそうになると、決まって君は、ときめきを補充しにやってくる。
しかも、無自覚に。

鼻をくすぐるシャンプーのいい香りや、コート越しでも伝わってくる君の体温とか。
とにかく、右半身にすべての神経が集中してしまいそうなのを何とか堪えて、照れ隠しに叫んだ。

「ええ、まだ行くの!?もう休もうよ」
「何言ってるの。これくらいでバテるなんて。男でしょう!」
気のせいか、年々女らしさも育つと同時に、男らしくもなっていく気がする彼女にずるずると僕は引きずられていく。

---- ああ、きっと僕は、こんな風に将来も尻にしかれるに違いないんだ。

無意識に胸中でそう嘆いて、ふと我に返った。
将来?・・・将来って!
つまり僕とハーマイオニーが・・・?
違う違う!
別にそんなつもりで思ったんじゃなくて!

勝手に浮かんでしまった想像で焦る心を振り払うように、ぶんぶんと1人、首を振る少年を横目に、少女は不思議そうな顔をする。
「ロン?さっきから変よ?一体どうしたの?」
ああ、人が君の事で焦っているときに、無邪気にそうやって覗き込まない欲しいよ。

「ロンったらもしかして。クリスマスプレゼントのこと?もう、そんな変な要求の仕方しなくても、ちゃんとロンの分も用意してあるわよ」
それは、今の悩みでなくてさっきの悩みだったんだけど。
思わずそう口にしそうになる。
ハーマイオニーは、時間差な推測をしてごそごそと鞄の中を探した後、ふんわり笑って、僕の前に近寄った。

「はい、メリークリスマス。ロン」
そう、笑顔で僕の首に巻かれたのは緑色のマフラー。
実を言うと、背伸びをしたせいで眼前に迫っていた君の伏せられた長い睫とか、柔らかそうな頬とかにも見とれていたりしたけれど、何より驚いたのはマフラーのあみめがガタガタ…つまり、手編みだったということ。
ちゃんとイニシャルも小さく入ってる。

「これって…」
「あ!違うのよ?別にロンのために編んだわけではなくって、もちろんハリーのもあったはずなの。ちゃんとHの文字も入れて」

僕の気のせいでなければ--- 気のせいでないと思いたいんだけれど--- ハーマイオニーはちょっとだけ頬を赤らめながら僕の顔をちらりと見てから、そう付け加えて。

「でも、あっちは失敗しちゃって…だからそのお詫びに」
次に視線が指したのは、先程買ったハリーへのプレゼントたち。
ああ、どうりでやたらとハリーのプレゼントだけ多かったのは、その埋め合わせだったんだ、と納得した。
これで少し心が軽くなったのは自覚するでもなく。

「さあ、今度は向こうの通りに行きましょう!」
ついさっきまでもうくたくただった筈の体なのに、君の巻いてくれたマフラーには魔法でもかかっていたのかもしれないと思うほど、僕を元気にした。
「ええ〜」
情けない声を出してみたりもするけれど、結局僕は元より一緒に行くことになっているんだ。

本当、やっぱりハーマイオニーにはかなわない。

メリークリスマス。
気まぐれ天使のような、大切な君に。

心からの笑顔で、こっそりそう、呟いた。






ココさんより、この絵を基にされたというSSを頂いてしまいました…!しかも、ロンハーは初めて書かれたそうで、そのような記念すべきものを私が頂いてしまっていいのだろうかと恐縮しまくりでしたが、有難く頂いてきましたvふふふ、幸せ…v(怪

ああ、もうロンってば可愛すぎ!ハーマイオニーの服装、仕草、言葉の一つ一つに、ドキドキしたり、ヤキモキしてみたり、すっかり振り回されてしまってる彼が可愛くて仕方ありませんっ。イチイチ言い訳してるロンがまたかっわいいー!(笑)マフラーをプレゼントされたロンの(無意識で)幸せそうな顔にきっとハーマイオニーもドギマギしてしまったに違いありませんよね^^二人の微笑ましい光景が眼に浮かぶようですv

ふんわり温かい素敵なクリスマスプレゼント、本当にどうも有り難うございました!



04/12/27                       ⇒HPはこちら
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