「やーっと捕まえた☆夕鈴、足速いんだね」 「なっ、何なんですか!?人のことをいきなりものすごい笑顔で追いかけてきたり、ありえないぐらいぎゅうぎゅう抱きしめたり…!」 「何って、『逃げ出さないように抱きしめた』ってお題を消化したんだよ。今日じゃないと意味がないでしょ」 「お題消化って…ええええ!?今のが!?逃げ出さないようにと言うより、私、完全に逃げてましたけど!」 「え、何か間違ってた?」 「…そうですね、何かが格段に違う気が…。私はてっきり、もっと乙女ちっくで美しい感じなのかなと、微妙に期待していました…」 「美しいって?」 「え、えーと、例えば…廊下の端で涙ぐみながら一人たたずむ私に陛下が声をかけてくださるんです。どうした?泣いているのか?と」 「何で泣いてるの?」 「理由は何でもいいんです!えっと、そうしたら、私はさっと涙を隠して、泣いてなんかいませんよ!元気だけが取り柄の私が泣くわけないじゃないですかと、カラ元気を見せるんです」 「何で?」 「…何でもです。でも、涙をこらえきれなくなった私は、陛下の前から逃げ出そうとするんです」 「何で?」 「だから、何でもですってば。そうしたら、陛下が黙ったままぎゅっと腕を回して抱きしめてくださるんです…」 「黙ってる方がいいの?」 「そうですね、できれば、ムダに可愛く『捕まえた☆』とかは言ってほしくないですね」 「何で?」 「興ざめしちゃうからです!…えと、あの、陛下…そろそろ離していただけませんか。少し暑いと言うか何と言うか…」 「あ、ごめん。夕鈴が構わずずっと喋ってるから、いいのかなと思って」 「よくないです!…って、何でさらにぎゅうぎゅうしめつけるんですか!」 「えー、しめつけるなんて失礼な。抱きしめてるって言ってよ。…ただ、夕鈴が赤くなるのを見ているのが楽しいなと思ってな」 「な…っ!赤くなんかなってませんっっ。暑いから体温が上がっただけで!と言うか、急に演技入れるなんてズルイです…!」 +++ 『狼陛下の花嫁』より、陛下と夕鈴。 可歌まと祭「夏のミュージック・フェア」に参加させていただいたときのもの。 会話文…短くしようかどうか迷ったのですが、せっかく(?)なのでそのままで。 細かいところは見逃してやってください; お粗末さまでした。 |
'10/08/16
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